矯正歯科コラム

2020.01.30

一期治療と二期治療

お子さまの矯正治療をいつ開始したら良いかお悩みの方も多いのではないかと思います。
子どもの時期の矯正治療は、開始の時期によって通常2つに区分されます。

一期治療:混合歯列期(永久歯が生えそろう前)の治療、だいたい6歳以降
二期治療:永久歯列になってからの治療、だいたい12歳以降

そして、考えられる治療のパターンは以下の通りです。
① 一期治療を行った結果、二期治療の必要性がなくなる
② 一期治療を行い、その後二期治療も必要となる
③ 一期治療の有用性がなく、二期治療のみを行う

①のケースが、一期治療を行う場合に最も有用性が高いものです。
②は、一期治療を行うと、二期治療が有利に進められたり、二期治療開始まで放置できない問題があるなど、将来性を見越して有用な場合に行われます。
③の場合、例えば適切な診断を経ずに、とりあえずデコボコの歯列を整えたり、拡大などをしたりしたものの、永久歯列で結果的にデコボコになり、永久歯列になってまた同じような治療が必要になったというようなケースでは、一期治療の有用性は乏しいということです。

一期治療は、装置が比較的簡便で反も早く、しかも短期間かつ安価で済ませられることから、親御さんがお子様を心配される心理に同調するようにむやみに早期治療を推奨する風潮もあるようです。しかし、この時期の治療は、永久歯列と違い対象となる歯列がまだ全部見えておらず、今後の生えかわりや、顎骨の成長などの変化を見通した上で行わないといけないためかえって難しく、きちんとした診断や見通しを立てた上で行わないと、「結果の伴わない余計な治療」で患者さんの負担だけが増える結果になってしまいます。

具体的にどのようなケースで一期治療を行うべきか、次回より具体的な症例を使って解説したいと思います。