矯正歯科コラム

2020.01.28

不正咬合で口唇の形がどのように歪むか?

口元の外観の問題が、口元を構成する硬組織(骨と歯)と軟組織(筋肉)の長さの不調和によって起こるということは、前々回のコラムで述べました。
そこで今回は、前歯の位置変化によって口唇の形がどのように歪むかを具体的にお伝えします。

①前歯が前突しても、軟組織の長さに不足がなければ口元の形は大きく歪むことはありませんが、全体的に突出した感じになります。矯正治療で前歯の位置が後退すると若干すっきりとした印象に変化することが多いです。

②前歯が前突し、軟組織の長さに不足がある場合は、下唇を持ち上げるように力を入れて口を閉じるので、下顎のラインに筋肉の緊張による歪みが生じます。矯正治療を行って前歯を後退させても軟組織の長さが足りないような難症例では、治療後も歪みが残ることがあります。

③上の前歯がたくさん前突しているような場合は、口を閉じた時に下唇が上の前歯から押されるため、下方にめくれ上がるように変形します。

矯正治療の検査の際には、閉唇時と弛緩(開口)時の2枚の口唇の写真を撮ります。硬組織の影響をできるだけ排除した弛緩時の口唇の形は、矯正治療後の顔立ちの変化のを見極めるうえで重要な指標となることがあります。