矯正治療で目標の位置まで歯を動かすにために、装置を工夫して動かす歯と固定する(動かさない)歯を分ける必要があります。
例えば、出っ歯の治療のために抜歯をしたときは、抜歯してできたスペースに向かって、できるだけたくさん前歯を後ろに動かすことが必要です。奥歯が前に移動してスペースが閉じてしまうと、その分前歯を後ろに下げるスペースが減ってしまうからです。 今回は移動歯と固定歯を区別する方法について説明します。
①ワイヤーで工夫する
奥歯が前に移動しないよう、奥歯の装置の手前にワイヤーで止めを作ると、奥歯の動きを止めることが可能です。
②ゴムを使用する
患者さんに協力していただく顎間ゴムで、動かしたくない方向への歯の移動を抑制することができます。ゴムの効果は、患者さんの協力度により効果が大きく変わるため、指示通りにゴムを使用していただくことが大切です。
③インプラントを固定源として使う
歯ぐきの骨の中に小さなインプラントを入れ、固定として使用します。①②の手段だけでは目的にかなった歯の動きが難しいときに使用します。
固定させる歯と移動させる歯を柔軟に区別できることが従来のブラケット治療の大きなメリットです。
固定を増やす手段はこれ以外にもたくさんあり、患者さんの状況に合わせて方法を使い分けていきます。